わかりやすさのクリエーティブ
ぼくが関わっている仕事に、あるサイトでのレシピ紹介というものがあります。
ちなみに、クックパッドではありません。
料理に関わるメーカーが自社商品を使ってもらうために、
それを使ったレシピを紹介するというものです。
そこで掲載される料理は、すべて専門家の人に開発してもらってます。
とはいえ、突拍子もないようなものは出てきません。
基本的には、一般家庭で食べられるものにワンアイデアを加えたもの。
でも、その辺ってみんなやってるじゃないですか。
プロはもちろん、家庭ですることもありますよね。
それでも、栗原はるみさんやケンタロウさんたちはテレビに出続けている。
たぶん、本当においしいものなら、テレビで紹介するより、
お店やった方が遥かに儲かると思うんです。
お店を出すわけでもなく、オリジナリティあふれる料理をつくるわけでもない。
だから、ああいう人たちの立ち位置が謎でした。
もしかしたら、料理できない人が、ぼくの想像以上にいるのかもしれません。
でも、必ずしもできない人向けだけではないかと思います。
その前提での仮説ですが、プロの料理人とは全然ちがう能力と目的を持った人だと、
先ほど紹介した仕事を通じて感じるようになってきました。
料理研究家とされる人たちが求められる理由は、
わかりやすく伝える能力なのだと思っています。
ひと工夫された料理を「家庭でつくれそう」と思わせてくれるチカラです。
お店で食べる絶品をいくら家で食べたいと思っても、
技術や設備がないと再現することはできない。
でも、料理研究家のフィルターを通ることで、それを家庭で再現することができる。
すごいんですよね、この能力って。
池上彰さんや林先生も、むずかしいことをわかりやすく伝えられる重宝される。
わかりやすく伝えるためには、誰よりも深く理解できていないといけない。
そのうえで、相手を想像していろんなレベルに合わせて話すことができる。
わかりやすくするって、かなりクリエーティブな行為なんだと思います。